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2008 年度 実績報告書

海洋性硫黄酸化細菌の硫黄酸化関連酵素及びその遺伝子の解析

研究課題

研究課題/領域番号 18380194
研究機関岡山大学

研究代表者

上村 一雄  岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80294445)

キーワード微生物利用学 / 環境修復 / 微生物酵素 / 微生物代謝 / 資源循環システム / 遺伝子資源 / 遺伝子発現
研究概要

本研究は、微生物を使って低品位の鉱石から金属を溶出させる技術であるバクテリアリーチングを,NaClを含む鉱石にも適用できるようにするために分離した,NaCl要求性の細菌(SH株)の硫黄酸化経路に焦点をあてて、硫黄化合物の酸化機構を酵素レベル及び遺伝子レベルで解明することを目的とする。
我々は,硫酸イオンを活性発現に必要とするテトラチオン酸ハイドロラーゼ(TTHと省略力する)を鉄と硫黄を酸化できる細菌から分離している。SH株の酵素は硫酸イオンで活性化されなかったが,増殖に必要なNaClによって酵素活性が,約2倍増加した。このような性質を示すTTHはこれまで報告されておらず,極めて興味ある酵素である。最適な反応のpHは4付近であり,生育環境のpHとほぼ同様であった。酵素は,膜に結合した状態,おそらく細胞外膜に結合して存在していると考えられた。膜にテトラチオン酸を加えて放置すると,溶液が白濁することから,不溶性の硫黄が反応生成物としてできることが明らかとなった。酵素は,テトラチオン酸から硫黄,チオ硫酸と硫酸を生成する反応を触媒するものと推測された。NaClを活性化に必要とするので,酵素が精製された暁には,触媒反応に関して極めて重要な知見が得られることが期待され,引き続き研究を行っている。
一方,チオ硫酸デヒドロゲナーゼは,2分子のチオ硫酸からテトラチオン酸を合成する反応を触媒する酵素である。本酵素もその最適pHが3であるため,細胞外の酵素であると考えられた。TTHと同様に膜結合型であったが,TTHと異なり,硫酸イオンがないと活性が観察できなかった。このような性質を示すチオ硫酸デヒドロゲナーゼはこれまで報告されていない。酵素は,2つの異なったサブユニットから成っていることが,部分精製標品を分析した結果から推測された。両酵素とも,その性質と遺伝子構造を明らかにするために,引き続き精製を進めている。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2009 2008 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Reconstitution of iron oxidase from sulfur-grown Acidithiobaeillus ferrooxidans2008

    • 著者名/発表者名
      Taha, T
    • 雑誌名

      Appl. Environ. Microbiol 74

      ページ: 6808-6810

    • 査読あり
  • [学会発表] 鉄酸化細菌Acidithiobacillus ferrooxidans由来テトラチオン酸ハイドロラーゼの発現解析と活性型酵素の取得2009

    • 著者名/発表者名
      金尾忠芳
    • 学会等名
      2009年度日本農芸化学会大会
    • 発表場所
      福岡市
    • 年月日
      2009-03-29
  • [学会発表] 鉄酸化細菌A. ferrooxidansの鉄及び硫黄代謝の制御機構の解析2009

    • 著者名/発表者名
      長田 臨
    • 学会等名
      2009年度日本農芸化学会大会
    • 発表場所
      福岡市
    • 年月日
      2009-03-29
  • [学会発表] Analysis of a protein involved in the regulation of sulfur and iron oxidation by Acidithiobacillus ferrooxidans.2009

    • 著者名/発表者名
      Kamimura, K
    • 学会等名
      微生物硫黄代謝に関するEMBO-FEMSワークショップ
    • 発表場所
      ポルトガル
    • 年月日
      2009-03-17
  • [学会発表] Tetrathionate hydrolase : a key enzyme of the dissimilatory sulfur metabolism.2009

    • 著者名/発表者名
      Kanao, T
    • 学会等名
      微生物硫黄代謝に関するEMBO-FEMSワークショップ
    • 発表場所
      ポルトガル
    • 年月日
      2009-03-16
  • [学会発表] 鉄と硫黄で増殖したAcidithiobacillus ferrooxidansのペジプラズムタンパク質の解析2008

    • 著者名/発表者名
      上村一雄
    • 学会等名
      第60回日本生物工学会大会
    • 発表場所
      仙台市
    • 年月日
      2008-08-29
  • [学会発表] 鉄酸化細菌 Acidithiobacillus ferrooxidansにおけるテトラチオン酸ハイドロラーゼの転写解析2008

    • 著者名/発表者名
      金尾忠芳
    • 学会等名
      第60回日本生物工学会大会
    • 発表場所
      仙台市
    • 年月日
      2008-08-28
  • [学会発表] 鉄酸化細菌 Acidithiobacillus ferrooxidans由来テトラチオン酸ハイドロラーゼの大腸菌組み換え発現と活性型酵素の取得2008

    • 著者名/発表者名
      村上知佐
    • 学会等名
      第6 0回日本生物工学会大会
    • 発表場所
      仙台市
    • 年月日
      2008-08-28
  • [図書] 微生物増殖学の現在・未来2008

    • 著者名/発表者名
      上村一雄
    • 総ページ数
      427-444
    • 出版者
      地人書館
  • [備考]

    • URL

      http://www.okayama-u.ac.jp/user/agr/nougaku0107.htm

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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