種子は、人類の重要なタンパク質源であり、将来の食糧不足を考慮すると、タシパク質の高集積化が望まれる。このためには、種子貯蔵タンパク質の輸送・集積の分子機構を解明する必要がある。今年度は、以下の3点からアプローチした。 1.小胞体(ER)からタンパク質貯蔵液胞(PSV)への輸送経路 平成18年度に解析したダイズ、エンドウ、カボチャの11Sグロブリン(11S)の輸送経路の違いを、植物種の違いの影響をさけて、BY-2細胞で解析した。その結果、カボチャ11Sのように会合体を作り易いものでも、発現量が少なければ、ゴルジ体経由でERから液胞に運ばれることが分った。 2.PSVへの輸送を指令するシグナル(VSS)とそのレセプター(VSRとRMR)の構造と認識機構 輸送シグナルには、C末端型、配列特異型、物理構造型の3種がある。昆虫細胞発現系を用いて、ダイズのVSRとRMRを調製し、ダイズ7Sと11Sの各シグナルとの相互作用をビアコアを用いて解析した。その結果、VSRがC末端型と強く相互作用することを見い出した。一方、ダイズVSRの結晶化に成功したが、分解能が低かった。現在、良質の結晶を得るべく努力している。 3.種子貯蔵タンパク質のプロセシングと高密度集積構造の形成 昨年度までに決定したダイズ成熟型11S、プロ11S、カボチャプロ11Sに加えて、エンドウプロ11Sの比較的良好な結晶の調製に成功し、現在、構造解析を進めている。
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