研究概要 |
アルキンへの付加反応によるヘテロ環化合物の一般合成法確立と生理活性化合物全合成への適用を目的として研究を遂行した結果,以下の成果を挙げることができた. (+)-Lysergic acidの合成研究:全合成を最終目的として,D環部とCu(II)塩を用いる連続的環化反応を用いるBC環モデル化合物の構築法の開発研究を行った.種々検討の結果,収率に改善の余地はあるが,連続的に環化反応を進行させることに成功し,インドール環を含む三環性化合物を一段階で合成することに成功した. (+)-Stephacidin Aの合成研究:4-Amino-3-nitrophenolを出発原料とし,(1)Pd(PPh_3)_4とmethyl propiolateを触媒とする2-エチニルアニリン誘導体のインドール閉環反応,(2)Seebachらにより報告されている"Self-Reproduction of the Center of Chirality"法によるC4およびC22位の不斉第四級炭素の構築,(3)Grignard試薬を用いる閉環反応によるD環構築を鍵反応として,(+)-stephacidin AのBCDFG環に相当する化合物の合成に成功した. (+)-Meloscineの合成研究:アルキンへの水酸基の付加反応で得られるエノールエーテルをキラルPd(0)触媒存在下で分子内不斉アリル化反応を行い,シクロペンタノン誘導体を最高70%e.e.の光学収率で得ることに成功した.本化合物のアリル基を修飾の後,ジアステレオ選択的にベンジル位にもう一つのアリル基を導入し,さらに各種官能基変換を行うことで,(+)-meloscineの重要合成中間体であるラクタムを合成することができた.
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