研究概要 |
アルキンへの付加反応によるヘテロ環化合物の一般合成法確立,反応機構の解明,および生理活性化合物全合成への適用を目的として研究を遂行した結果,以下の成果を挙げることができた. Pd(PPh_3)_4とmethyl propiolateを触媒とする2-ヨードアニリン誘導体の連続的カップリングーインドール閉環反応の基質適用性と反応条件の最適化を行った.また,本反応は,系内で生成した新たなPd(II)錯体が触媒として機能していることを示唆することができた.一方,PtCl_4をethanol中活性化するユニークな反応系を用いるホモプロパルギルアジド誘導体からの,多置換ピロール合成法を開発することに成功した. 2-Phenylethynylbenzoic acidとその誘導体,芳香環を持たないカルボン酸類,さらにアルキル基置換カルボン酸を基質とする酸あるいは塩基による閉環反応を系統的に検討し,反応性と閉環の位置選択性の関連性を明らかにできた. (+)-Lysergic acidの合成を最終目的として,D環部とCu(II)塩を用いる連続的環化反応を用いるBC環モデル化合物の構築法の開発研究を行った.一方,(+)-Stephacidin Aの全合成研究を行った結果,BCDFG環に相当する化合物の合成に成功した.さらに,イソクマリン骨格を有するthunberginol AおよびBを2-ethynylbenzoic acid誘導体の酸による位置選択的閉環反応を用いて全合成することができ,塩基を用いる閉環反応により6Z-pandanamineの全合成に成功した.最後に,アルキンへの水酸基の付加反応で得られるエノールエーテルをキラルPd(0)触媒存在下で反応を行い,シクロペンタノン誘導体を最高70%e.e.の光学収率で得ることに成功し,本化合物から(+)-meloscineの重要合成中間体であるラクタムを合成することができた.
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