研究課題
pH指示薬であるフェノールフタレインにクラウンエーテル構造を二ヶ所に導入した一連の化合物を合成しその機能化を図っている。研究の大きな目標は(1)これまでメタノール中で見出してきたさまざまな本ホストの機能がはたして完全水中でも発揮されるかどうか?(2)応用化を志向し生体内アミンのうちでもガンとの関連が指摘されているスペルミジン、スペルミンの迅速定量法を開発するの二点である。(1)については水溶性ホスト分子を合成し、実際に完全水中で本分子認識システムが機能することを見出した。本分子認識の駆動力は電荷の間に働くクーロン力と水素結合である。方向性はないものの遠くまで作用を及ぼすクーロン力と、方向性はあるものの、水分子により容易に阻害される水素結合を組み合わせることにより、水中での分子認識が可能であることを明らかにした点は大きな意味を持つものである。(2)についてはホスト分子の感度の向上が不可避である。ベンゾフラノン環上を修飾することにより、従来ホスト化合物よりも感度が10-50倍程度向上した分子を創出することができた。しかしながらこの分子を用いてもスペルミジン、スペルミンの検出感度は10mMオーダーであり、更に100倍程度の感度の向上が必要と思われる。そのために分子に蛍光性を付与することを試みており、いくつかの化合物を合成したこれら分子の機能化を来期は計っていく。
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Tetrahedron Letters 48
ページ: 2135-2138
Organic Letters 8
ページ: 5797-5800