研究課題/領域番号 |
18390008
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
供田 洋 北里大学, 薬学部, 教授 (70164043)
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研究分担者 |
猪腰 淳嗣 北里大学, 薬学部, 助教授 (30151640)
砂塚 敏明 北里大学, 北里生命科学研究所, 教授 (30226592)
石橋 俊 自治医科大学, 医学部, 教授 (90212919)
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キーワード | 動脈硬化症 / ACATアイソザイム / 脂質代謝 / ケミカルバイオロジー / 医療・福祉 |
研究概要 |
コレステリルエステルを生成する酵素のアシルCoA:コレステロールアシル転移酵素(ACAT)は動脈硬化治療薬の標的として注目されてきたが、その阻害剤は医薬品としてはまだ開発されていない。最近、本酵素には2種のアイソザイムが存在することが報告された。今までの医薬品候補化合物の多くが両アイソザイムに対する選択性が明確に報告されておらず、アイソザイム選択性を明確にした阻害剤が動脈硬化の新しい予防治療薬として発展する可能性が期待できる。本研究では微生物資源からの新たな阻害剤の探索を行なうとともに、微生物由来ACAT阻害剤のpyripyropene(現在報告されている唯一のACAT2選択的阻害剤)とbeauveriolide(ACAT1に比較的選択的)をリードとして誘導体を合成し、ACAT1とACAT2に対する阻害の選択性を測定する。そして、その中から特色のある誘導体について動脈硬化発症モデルマウスを用いて有効性を検討することを目指している。 Pyripyropene Aから半合成の手法で合成した200種の誘導体についてACAT1とACAT2に対する阻害活性を評価した。その結果、pyripyropene Aより強力にACAT2を阻害する誘導体を見いだし、これはすでに報告していたラット肝ミクロソームを酵素源としたACAT阻害活性の知見とよく一致することが明らかとなった。しかし、これらの誘導体はACAT1に対する阻害活性も認められるようになり、その結果、pyripyropene Aが一番ACAT2に選択性の高い(差が1000倍以上)阻害剤であることが明らかとなった。さらに優れたpyripyropene誘導体合成を継続する。 コンビケムの手法で合成したbeauveriolide誘導体のACATアイソザイムに対する選択性の評価を終了した。ACAT1に選択的(差が10倍以上)、ACAT1とACAT2に同程度、また、ACAT2に選択的(差が10倍以上)に阻害するなど、多様な誘導体を得た。 さらに、微生物資源を対象にACAT阻害剤を探索し、既知化合物verticilideとその新規類縁体3成分、既知化合物aurasperone類を発見した。これらの化合物は、ACAT2を比較的選択的に(8.0〜10.8倍の差)阻害した。
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