研究課題
基盤研究(B)
新しいイオントラップ-2重同時モード質量分析計の開発において、3重極新イオントラップを開発し、これが特許として認定され、3重極質量フィルター機能も含め世界初のものとなった。この3重極を連結してタンデムとし、その間のギャップでイオンを蓄積する新しいイオントラップ法を考案し、これはアメリカにまず特許申請した。その後、この概念を基に、新しいイオントラップとTOFとタンデム4重極を同時にできるダブルタンデムという世界初の質量分析装置も試作する事ができ、その可能性と現時点での改良点を認識し、技術基盤を確立することができた。また、この新しい質量分析計の性能に大きく依存する極限的分析法として、1生細胞におけるナノ分子動態の解析への応用があり、1細胞ダイレクト質量分析法も確立した。そこでは、ナノスプレーイオン化法が、高感度なイオン化法である事を突き詰め、遂に細胞1ケでも分子ピークが認識できる事を発見した。 しかも、その検出により、細胞が何か変化を起こした時をビデオ顕微鏡で観察し、その時、その場所に狙いを定めて、その細胞内の分子のうごめきを追跡できることがわかり、世界初のこの手法は「Live Single Cell Mass Spectrometry」とNatureの主任編集者に名付けられた。アレルギー細胞内の顆粒も検出でき、1細胞内での分子ロジスティックや細胞内分子代謝まで解析でき、また細胞の種別分類が主成分解 析法で可能であることも発見、現在は、iPS細胞も含め、分化細胞の因子追跡の可能性を追求している。これにより、新しい可能性のある質量分析計の開発基盤がこれで形成でき、また、世界初の1細胞ダイレクト質量分析法が確立できた。
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