研究課題/領域番号 |
18390017
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松田 正 北海道大学, 大学院薬学研究院, 教授 (20212219)
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研究分担者 |
大林 典彦 北海道大学, 大学院薬学研究院, 助手 (40421979)
関根 勇一 北海道大学, 大学院薬学研究院, 助手 (20396295)
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キーワード | 免疫学 / 薬学 / 癌 / シグナル伝達 / サイトカイン |
研究概要 |
免疫システムの恒常性を維持するためには液性の調節因子であるサイトカインの存在が不可欠であり、そのサイトカインは主にJak/STATシグナル伝達系と呼ばれる特異なシグナル系を利用し、機能を発現する。この系を担うJakキナーゼとSTATは免疫系の維持、制御に重要な役割を果たす。申請者らは特にこのJak/STATシグナル系を中心に研究を展開してきた。なかでも免疫系細胞の増殖分化に関与するIL-6の作用は主にシグナル伝達分子であるSTAT3によるものであることが明らかにされている。STAT3の活性化は免疫系細胞の癌化にも非常に重要とされている。また最近、STAT3の活性化が自然免疫の担い手である樹状細胞の成熟を阻害することが明らかにされており、癌細胞を介するSTAT3の活性化が樹状細胞の活性化阻害による癌免疫の抑制として観察される。すなわち、これらの点から恒常的なSTAT3活性化は直接的あるいは間接的に免疫システムの撹乱を誘導し、自己免疫疾患や癌化ならびにその増悪に寄与しており、そのSTAT3制御機構の解明は抗免疫疾患薬や抗癌剤の開発に非常に重要であることがわかる。本研究においては申請者らが同定している種々の新規STAT3結合蛋白を中心に、STAT3の活性化機構の解明と制御法の開発を目的として研究を行い、本年度は核でのSTAT3制御蛋白としてDaxxを同定し、機能的相互作用の存在等を発表した。また、STAT3をその脱リン酸化により制御するホスファターゼとしてLMW-DSP-2(DUSP22)を同定し、報告した。さらにSTAT3の機能を調節するアダプター分子STAP-2が自然免疫系の調節にも関与することを明らかにして報告した。STAT3がカボシ肉腫関連ヘルペスウイルス産物であるLANAと相互作用し、活性化されることも報告した。現在、これら蛋白とSTAT3との詳細な相互作用の解析と、新規STAT3結合蛋白の解析を進めている。
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