研究課題/領域番号 |
18390025
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
橋本 均 大阪大学, 薬学研究科, 准教授 (30240849)
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研究分担者 |
馬場 明道 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (70107100)
新谷 紀人 大阪大学, 薬学研究科, 助教 (10335367)
吾郷 由希夫 大阪大学, 薬学研究科, 助教 (50403027)
橋本 亮太 大阪大学, 子どものこころの分子制御機構研究センター, 特任助教 (10370983)
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キーワード | 神経ペプチドPACAP / 精神疾患・障害 / 分子遺伝学 / 遺伝子改変マウス / 疾患モデル / うつ病 / セロトニン神経 / 一塩基多型(SNP) |
研究概要 |
本研究は、神経ペプチドPACAPおよびそのシグナル系の関連分子に関する、統合失調症・双極性障害・注意欠陥多動性障害などの精神疾患・障害における病態的意義を確立することを目的とし、申請者らが創出した変異マウスの解析から必然的に導き出された新規のアプローチにより、その機序を探るものであり、次の各点に関する解析を目指す:1)PACAP欠損マウスの精神・神経機能変化に関する、分子神経化学・行動薬理学・解剖生理学的解析、2)ヒト疾患および量的形質としての中間表現型についてのPACAPあるいは関連遺伝的との関連研究、3)既知の統合失調症関連・リスク遺伝子(DISC1等)との機能的連関の解析。以上より、統合失調症等の疾患分子基盤およびこころのメカニズム研究の展開を試み、平成19年度においては、下記の研究成果を得た。 (1)うつ病とPACAP遺伝子の一塩基多型(SNP)との関連解析により、有意な関連を見出した。 (2)PACAP欠損マウスを用いて、うつ病の中間表現型に関係する動物の表現型を中心に解析し、うつ様行動の出現、この行動に対するセロトニン2(5-HT_2)遮断薬あるいはPACAPの投与による改善作用、また同マウスの日内コルチコステロン変動の低下、脳海馬のグルココルチコイド受容体発現の低下などを見出した。 以上の結果は、PACAPによる神経伝達あるいはセロトニン神経などの他の神経伝達系を調節する働きが、精神行動を調節している可能性をさらに支持するとともに、この働きの何らかの障害が、うつ病のリスクとなる中枢神経機能変化に関わる可能性を新たに示すものと考えられる。
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