研究課題/領域番号 |
18390031
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
辻本 雅文 独立行政法人理化学研究所, 辻本細胞生化学研究室, 主任研究員 (00281668)
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研究分担者 |
服部 明 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (50300893)
丸山 正人 独立行政法人理化学研究所, 辻本細胞生化学研究室, 協力研究員 (00399445)
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キーワード | アミノペプチダーゼ / オキシトシナーゼサブファミリー / 脂肪細胞由来ロイシンアミノペプチダーゼ / アミノペプチダーゼA / 白血球由来アルギニンアミノペップチダーゼ |
研究概要 |
オキシトシナーゼサブファミリーに属する3種の酵素の病態との関わりおよび特異的阻害剤の開発を目指した研究を展開した。特に脂肪細胞由来ロイシンアミノペプチダーゼが妊娠高血圧症の患者血清において正常人と比較して高値を示すことが認められた。この結果は本酵素と病態との関わりを示唆する初めての例である。天然物ライブラリーから阻害剤のスクリーニングを継続しており今後特許申請等行なっていく予定である。 オキシトシナーゼサブファミリー酵素の反応機構解明に向け、すでに多くの情報があるアミノペプチダーゼAを用いてそのカルシウム感受性を規定している残基の探索を行った。その結果ヒトアミノペプチダーゼAのAsp-221がそれを決定していることが明らかになった。分子モデルを作製したところ本残基が酵素の反応ポケット中、亜鉛結合モチーフの近傍に存在することが想定され、基質のアミノ末端残基の認識に関与するものと考えられた。 脂肪細胞由来ロイシンアミノペプチダーゼにおいてアミノペプチダーゼAのAsp-221に相当する残基である、Gln-181を各種アミノ酸に置換した変異体を作製したところ、Aspに変異させた酵素において著しい基質特異性の変化が観察された。すなわちこの変異体は塩基性アミノ酸を特異的に水解するようになったが、この性質は相当する残基がAspである白血球由来アルギニンアミノペップチダーゼと同様であることから両酵素の進化上での親近性がさらに確かなものになったと推察された。 以上の成果は今回見出した残基がオキシトシナーゼサブファミリーを含むM1ファミリー酵素全般の基質特異性を規定していることを示唆しており、興味深い結果である。
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