研究課題
基盤研究(B)
ヒストン等の核内蛋白質との相互作用を制御することにより、外来遺伝子の核内動態や転写が制御可能であると考えられる。本研究課題では、核内蛋白質との相互作用を制御可能なDNAを新たに開発することを目的として、以下の研究を行った。以前に、我々は、マウス肝臓へ送達させた外来DNAの核内動態を解析し、外来DNA1分子当たりの発現効率が減少すること(silencing)を見出した。本研究でマウス肝臓中の外来DNAと結合している蛋白質の解析を行った結果、予想通り外来DNAはヒストン蛋白質と結合していること、及び、ヒストンの修飾状況には経時的変化が観察されないことが明らかとなった。また、silencingは培養細胞でも生じていることが明らかとなった。次に、ヒストンと結合する位置を制御する配列をプロモーター近傍に導入したプラスミドDNAをマウス肝臓へ送達させ、発現に対する影響を観察した。ヒストン高親和性配列(CATGTTTTTの36回繰り返し配列)の導入により、外来遺伝子の発現は約20倍上昇した。一方、核内における外来DNA量には変化は観察されなかった。従って、この機能配列の付加により外来DNA1分子当たりの発現効率が大きく改善された。これは、転写因子と相互作用する配列(TATA box)がヌクレオソームに取り込まれず露出するように制御された結果と思われる。また、相同組換え蛋白質との相互作用を向上させた遺伝子修復用DNA断片(直鎖状-本鎖DNA断片)による遺伝子修復法に関する実験も合わせて行った。新規標的遺伝子としてrpsL遺伝子を選択し、様々な箇所における遺伝子修復を調べた。その結果、遺伝子修復効率は部位により異なり、約1%から約9%の範囲であった。従って、一本鎖DNA断片を用いる遺伝子修復は、様々な遺伝子/配列に適用可能な遺伝子治療法であることが明らかとなった。
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