研究概要 |
複数の平衡反応を進行させることにより、構造の最適化を行えれば経時的に標的化合物に対し高親和性分子を構築できることを着想し、本概念に基づき医薬に関連する標的分子に対して親和性分子をオーダーメイドに合成するための汎用性ある方法論の開発と応用を目的とした。 鋳型分子として昨年度開発した1,3,5-ベンゼントリアルデヒド誘導体を用い、標的分子としては昨年度と同様にアミロイドβ42の凝集に主要に関わる部位であるC末端構造のペプチドを使用した。平衡反応を行う可変部分に本年度は、様々な構造様式のカルボン酸ヒドラジドを用いた。これは、アルデヒドーアルデヒドとヒドラゾンとの平衡反応が酸性で進行するのに対し中性では安定な結合になり、結合固定が迅速に行えるためである。酸性条件下で平衡反応は予想通り進行し、本反応系が、化学進化的合成化学に適用可能だということが明らかとなった。これまではHPLCにより、標的分子の有無によりパターンがどのように変化し、標的分子の存在により増加するピークの生成分子の評価を行ってきた。しかしこのやり方ではカルボン酸ヒドラジドの一度に用い得る種類の数がHPLCの分離限度までという制約を受けるため、一度に多種の可変分子を使用可能とするため、標的分子を結合させたアフィニティーカラムを作成し、その担体自身を標的として平衡反応を行うこととした。実際にVal-Ile-Alaを結合させたアガロースゲルの調製までを行うことに成功した。今後このアフィニティーカラムを用いて、平衡生成物の中から、親和性の一定以上あるもののみの分離を行い、得られた分子の標的分子に対する親和性評価を綿密こ行うこととした。
|