研究課題
本年度はOATP-R遺伝子5'上流域の単離と構造解析ヒトgenomic libraryよりOATP-Rの遺伝子の5'上流域を単離し塩基配列を決定した。この有機アニオントランスポーターOATP-Rの5'上流領域約2Kbを発現ベクターに組み込み基礎転写活性がその部位に存在することを確認した。さらに上流領域約2Kbを段階的に短くした配列を同様に発現ベクターに組み込み活性制御部位の同定を行った。転写調節領域のdeletion mutantを作成しルシフェラーゼ活性を指標として転写活性を明らかにした。その結果から本研究では、OATP-Rの転写調節領域の解析とアクチベーター蛋白結合部位の同定を行い、また各種薬物による発現増強試験を通してOATP-Rの活性を増強させる物質を探索する。腎不全時にOATP-Rの発現を上昇させることで脊臓からの薬物、腎不全物質の腎からの排泄促進をし、腎不全症状の改善、透析導入への期間を遅らせる新たな治療法の開発を行う。現在までの薬剤の開発戦略(特に抗疵剤)は、細胞内に容易に透過させるために疎水性を持った物質の探索に重点がおかれていた。一方でメトトレキセートの様な親水性の抗癌剤の開発は遅れていた。しかしながら有機アニオントランスポーターの解明により疎水性の物質がトランスポーターを介して特異的に臓器や癌細胞に輸送されることが明らかになった。しかしそのような物質の放射線標識体が必ずしも存在せず、合成するにも値段がかかる。そこで我々はLST-2を一過性に発現させた細胞を用いて特異的な基質を探索するための評価系構築を検討した。その結果、細胞としてはHepG2、基質はフルオレセインを用いることで薬物の阻害効果を効率的に探索することが可能である事を見いだした。また多検体処理を可能にするために通常24ウェルで実施している基質取り込み実験を改良して96ウェルプレートを用いてでも実施可能であることが明らかになった。癌特異的発現有機アニオントランスポーターLST-2アデノウイルス強制発現系に蛍光胆汁酸の取り込みを行わせ、その際に各種抗癌剤を添加し蛍光胆汁酸の取り込み抑制を指標としてLST-2特異的に取り込まれる物質のスクリーニングを開始した。
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