研究課題
有機アニオントランスポーターLST-2は、正常臓器では中心静脈周囲肝細胞類洞側膜に限局しておりLST-1の数十分の1程度の発現量であるが、多くの消化器癌細胞で著明に発現している特徴を持ち、さらには抗癌剤MTXはLST-2の輸送基質となり、in vitroにおいてLST-2が消化器癌におけるMTXに対する感受性を決定しているトランスポーターである。そこで東北大大学で手術を行った乳癌症例について倫理委員会の承認後免疫染色にてLST-2発現と臨床像との相関を検討した。1)予後が明らかな症例102例についてみるとLST-2陽性例は有意に予後良好であり、また再発例も少ないことが明らかになった。2)LST-2の輸送基質である抗癌剤MTX使用例79例についてみると陽性例は有意に予後良好であったが、全102例の検討に比較してp値の向上が見られず、またMTX非使用例でも同様の傾向を示すことから、LST-2発現下でのMTX投与の劇的な治療効果向上および、in vitro、in vivoの結果の証明には至らなかった。3)次に、臨床病理所見との関連について検討すると、LST-2は腫瘍の小さいものに有意に発現していた。ERαとの相関性はみられないが、estradiol(LST-2の輸送基質)を局所合成する17β-HSD typelと弱く相関した。4)さらに、LST-2のimmunoreactivityと予後に関する単多変量解析を行うとLST-2はリンパ節転移と並び、かつHER2/neuや腫瘍径等を越える独立した予後因子になりうる、すなわちLST-2発現乳癌は予後良好で、非発現乳癌は予後不良といえることが明らかとなった。
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