研究課題
基盤研究(B)
血液網膜関門(BRB)は、網膜内の神経活動で産生される神経伝達物質やホルモンの代謝物である有機アニオンおよび網膜内に移行した薬物を排出する解毒機構を有すると考えられるが、その機構は今のところ不明である。本研究は、BRBにおける有機アニオン排出輸送機構を解明し、その輸送担体を同定することを目的とした。モデル有機アニオンとして、estradiol 17-βglucuronide([3H]E17βG)及びρ-[3H]amino-hippuric acid([3H]PAH)とbulk flowマーカーとして、[14C]D-mannitolとを同時に硝子体内に投与し、マイクロダイアリシス法を用いて硝子体における[3H]標識薬物と[14C]D-mannitolの濃度推移を測定し、[3H]E17βG及び[3H]PAHのBRBを介した排出輸送を評価した。内側血液網膜関門(iBRB)のmRNA発現量は、磁気ビーズ標識抗CD31抗体を用いてiBRBの実体である網膜毛細血管内皮細胞を単離し、リアルタイム定量PCRを用いて解析した。[3H]E17βG及び[3H]PAHの硝子体からの消失速度定数は[14C]D-mannitolの消失速度定数よりも約2倍高いことが示され、E17βG及びPAHの硝子体からの消失は眼房水等からのbulk flowだけでなくBRBを介して排出されていることが示唆された。さらに、[3H]E17βGの排出はorganic anion tra-nsporter(oat)の基質や阻害剤及び[3H]PAHの排出は、有機アニオントランスポーター(OAT)の基質や阻害剤において有意に阻害された。以上の結果から、[3H]E17βG及び[3H]PAHのBRBを介した排出にはそれぞれoatpやOATが関与していることが示唆された。Oatp及びOAT発現解析からoatp2及びOAT3がmRNA及びタンパクレベルで網膜血管内皮細胞において発現していることが示された。さらに、二重免疫染色解析法からrOAT3は網膜毛細血管内皮細胞のabluminal側に局在していることが示唆された。以上の結果から、E17βG及びPAHは硝子体から血液側へBRBの輸送担体を介して排出輸送されており、その排出には少なくともoatpやOAT3が関与していることが示唆された。
すべて 2008 2007 2006
すべて 雑誌論文 (17件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (14件) 図書 (1件)
Microvasc. Res. 75
ページ: 68-72
Microvasc. Res 75
Drug Absorption Studies-In Situ, In Vitro and In Silico Models, C. Ehrhardt and K.J. Kim(Ed) AAPS Press-Springer, New York
ページ: 321-338
Microvasc. Res. 73
ページ: 100-106
Neurochem. Res. 32
ページ: 1833-1842
Mol. Vis. 13
ページ: 2041-2047
Neurochem. Res 32
Mol. Vis 13
Biochim. Biophys. Acta 1758
ページ: 13-19
J. Neurosci. Methods 156
ページ: 249-256
Biol. Pharm. Bull. 29
ページ: 2148-2150
Curr Eye Res. 31
ページ: 947-953
Biol. Pharm. Bull 29
Curr. Eye Res 31
Microvasc. Res 73