研究概要 |
本研究では、マイクロRNAが薬物誘導性肝障害発症に及ぼす役割について検討する。初年度の平成18年度の研究において、ヒト薬物代謝酵素であるチトクロームP450(CYP)1B1とCYP24において、マイクロRNA(miR)27bとmiR-125bがそれぞれのCYP分子種の発現を転写後制御していることを明らかにし、その一部を論文として発表できた(裏面業績2報目)。細胞における検討で、実際の活性を倍程度に変化させることを示した。さらに、発ガン部位においてこれらのマイクロRNA量が減少していることを示した。CYP24については、論文作成中である。典型的な肝障害性薬物であるジクロフェナクやチオアセタミドを投与したラットの肝試料について、マイクロRNAアレイによる網羅的な発現解析を行った。その結果、ジクロフェナクではmiR-22が変動することを明らかにした。肝由来HuH-7細胞ではmiR-22を発現しているため、アンチセンスオリゴで競合的に抑制すると細胞毒性が軽減され、防御機構の一つとして働くことを見出し、さらに詳細に検討中である。チオアセタミド投与においては、miR-21が変動しており、このターゲットタンパク質を検索中である。さらに、ヒトにおける代表的なCYP分子種である、CYP3A4の3'下流領域にmiR-27a,-27bの結合配列と高い相補性の配列を見出し、現在その役割について培養細胞およびヒト肝組織を用いて検討中である。
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