本研究は、近年急速に様々な機能が明らかにされつつあるマイクロRNAの薬物代謝および薬物誘導性肝障害における役割を明らかにすることを目的とした。本研究において、(1)チオアセタミド等の投与による肝障害モデルラットにおいて、miR-21が保護作用に働くことを見出した。(2)環境化学物質や薬物の毒性を高めるCYP1B1は、miR-27bが誘導および恒常的発現に関与していることを見出した。(3)臨床で使用される薬の半分以上の代謝に関与するCYP3A4は、PXRという転写因子がmiR-148aによって制御されることがCYP3A4の活性の個体差に大きな影響を及ぼしていることを明らかにした。さらに、(4)細胞の増殖制御の役割を担っている活性型ビタミンD3の代謝酵素に、転写後調節にmiR-125bが関わっていることを明らかにした。以上、肝障害を初めとする副作用の発現に関わる多くの代謝酵素について、マイクロRNAの関与を明示することができた。
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