研究課題/領域番号 |
18390052
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
奥 直人 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (10167322)
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研究分担者 |
浅井 知浩 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (00381731)
清水 広介 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (30423841)
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キーワード | 逆標的化 / アクティブターゲティング / DDS / 薬物送達システム / リボソーム / 減感作 / アレルギー / 自己免疫疾患 |
研究概要 |
本研究は薬剤キャリアを目的組織・細胞に到達させる標的化DDSの逆バージョンとして、目的の細胞に薬剤キャリアを認識させるインテリジェントな逆標的化DDS(Reverse Targeting DDS, RT-DDS)の新コンセプトを提唱・実証し、免疫疾患への応用の可能性を探るものである。すなわち、抗原抗体反応を逆手にとって、抗原修飾DDS製剤により、抗体発現細胞や抗体結合細胞に逆標的化させるという新発想により、抗原特異的な免疫細胞のみを特異的に傷害し、アレルギーや自己免疫疾患の根本的な治療を目指すものである。まず、RT-DDSによる抗体産生、抗体結合細胞傷害活性の確認と最適化を行う目的で、OVA感作モデルマウスの作製、OVA感作モデルマウスに対するOVA結合-リボソーム(RT-リボソーム)の最適化を行った。PEG修飾OVAリポソームは、それ自体で有利のOVAに比べて、減感作作用が強いことが明らかとなった。これはリボソーム化により免疫細胞による認識が高まったためと考えている。これを裏付けるようにRTリボソームの体内動態の検討の結果、脾臓への集積を見出した。さらにインビボ系でのRTリポソーム投与後の、脾臓や粘膜組織を、免疫化学的組織染色等の技術を用いて病理学的に解析を行ったところ、脾臓免疫細胞に対する逆標的化の有効性が明らかとなった。OVA感作モデルマウスに対するRT-リボソームおよびアドリアマイシン内封RTリボソームの投与時期などを変化させ、抗体価の変動を詳細に比較検討したところ、両リボソームでIgE産生が抑えられること、その作用はRT-DDSにより薬剤を送達した方が強いことを見出した。初期検討には確実に細胞傷害を起こす抗がん剤を使用したが、対象とする疾患患者への実用化には不適である。そこで効率的に目的の細胞にアポトーシスを誘導する方法論を確立するために、FK506などの免疫抑制剤のRT-DDSについて検討を開始している。
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