生体膜水チャネルタンパク質であるアクアポリン2(AQP2)は、腎臓集合管の主細胞で発現し、通常は細胞内の小胞膜に局在している。この小胞は、バソプレシン刺激によりエクソサイトシスされ、小胞膜が細胞膜と融合することにより、小胞膜にあるAQP2は頂部細胞膜へと移送される。この結果AQP2は細胞表面に露出され、細胞膜の水透過性を上昇させ、水の再吸収に関与している。バソプレシン刺激による細胞内でのシグナル伝達には、バソプレシンV2受容体を介したプロテインキナーゼAが関与し、その活性化によりAQP2がリン酸化されることによりAQP2小胞の細胞膜への融合が起こるとされる。そこで、今回作製もたリン酸化AQP2を特異的に認識する抗体を用いて、リン酸化AQP2と全AQP2との分布局在を免疫電子顕微鏡法を用いて検討した。ラット腎臓集合管主細胞では、アルデヒド固定馳してからクリオスタット切片を作製し、ナノゴールド・プレエンベッディング法により免疫標識した。AQP2を発現したMDCK培養細胞では、トライトンX100でパーミアビラアイズしてナノゴールド法標識をおこなった。ラット集合管細胞では、バソプレシン刺激前は、AQP2は細胞膜直下の小型小胞や、少し深部の比較的大きな小胞に局在していた。バソプレシン刺激により、ほとんどのAQP2は細胞表面へと移行した。リン酸化AQP2抗体を用いてリン酸化されたAQP2の局在を電顕レベルでみると、刺激時には細胞表面に局在していたが、非刺激時にも細胞内小胞にあるAQP2でリン酸化がみられた。AQP2を発現させたMDCK細胞でも同様な結果が得られた。以上の結果から、超微形態レベルでも、細胞表面AQP2のみならず、一定量の細胞内AQP2はリン酸化されているのが明らかになった。
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