研究課題/領域番号 |
18390060
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
小路 武彦 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30170179)
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研究分担者 |
菱川 善隆 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (60304276)
和泉 伸一 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40264246)
安 樹才 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30404213)
佐藤 陽子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50398963)
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キーワード | 精子形成細胞 / DNAのメチル化 / 分子組織化学 / ヒストン蛋白修飾 / 免疫組織化学 / ヘテロクロマチン化 / アポトーシス / 初代培養 |
研究概要 |
受精に伴う生命プログラムの初期化を理解する上で、生殖細胞特有の頻回なアポトーシスから免れる機構の解明は極めて重要である。特に体細胞分裂を繰り返す精粗細胞及び減数分裂を行う精母細胞ではアポトーシス頻度は高く、その誘導にはミトコンドリア局在蛋白であるBaxやチトクロームCの細胞質内異常分布が関与することを明らかにしてきたが、これまでミトコンドリアのアポトーシス誘導機構を作動させる引き金因子に関しては全く不明である。本研究では、精子形成過程は規則的なDNAのヘテロクロマチン化であると捉え、DNA局所のメチル化やヒストンタンパク質のリン酸化及び脱アセチル化等のエピジェネテックな調節機構の破綻が精子形成細胞アポトーシス誘導の細胞内因子となる可能性をin vivo及びin vitroで検討することを目的とした。本年度は、昨年度の検討結果を踏まえ、正常成熟雄マウス(ICR)精巣のパラフィン試料に於いて、DNAのメチル化部位検出条件を確立した。先ず、ddATPとddTTP存在下でTdTを作用させ3'-OH部位をブロックしておき、制限酵素Hap II消化後、Dig-11-dUTPをTdTで取り込ませた。Hap II処理スライドの一部は再度ddATPとddTTP存在下でのTdT反応によりブロックし、続いてMsp I処理した。切断部位はbiotin-16-dUTPでTdT反応により標識した。最終的にそれぞれローダミン-anti-Dig及びFITC-anti-biotinでシグナル検出を行った。その結果、TUNEL陽性細胞DNAは脱メチル化されていることが判明した。ヒストン蛋白の修飾については、特にヒストンH3に関して検討を続け、Ser^<10>のリン酸化が精祖細胞並びに精母細胞の分裂期に限局して起こることが判明したが、Lys^9、Lys^<18>、Lys^<23>のアセチル化共々、アポトーシスとの関係は明瞭でなかった。一方、多機能を維持したSertoli細胞培養株と分離精子形成細胞の共培養系の解析を進め、現在Sertoli細胞培養株上での精粗細胞の数回の分裂を再現性をもって見い出しており、in vitroでの最終分化段階の同定を試みている。
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