研究概要 |
1)Six1/4二重欠損マウスの変異形質および種々の遺伝子発現パターン解析 本年度は脊髄神経節,及び神経管内に新たに見いだされた一次感覚神経様細胞について検討を行った.Six1/4二重欠損マウスの脊髄神経節では,各神経節同士の分離が不完全で癒合が観察された.神経細胞マーカーであるIslet1/2とグリアマーカーであるSox10の発現は,野生型では別個の細胞に観察されるが,欠損マウスでは同時に発現する細胞が見られ,脊髄神経節の分化様式に変化が生じていた.また,野生型マウス脊髄にはSix1陽性細胞が観察されないが,Six1/4二重欠損マウスでは,Six1遺伝子座に挿入されたGFP陽性細胞が存在し,Islet1/2陽性であった.この神経管内の細胞はカエルやゼブラフィッシュでみられる神経堤細胞由来の一次感覚神経細胞であるRohon-Beard様細胞と考えられ,Six1/Six4が体性一次感覚神経及び脊髄神経節の進化のkeyである可能性が示唆された. 2)神経堤細胞分化系譜を追うことができるトランスジェニックマウスの利用 神経堤細胞系譜をmRFPの蛍光で追跡できるPO-Cre/CAG-LXL-mRFPIトランスジェニックマウスとSix1/4二重欠損マウスを交配し,脊髄神経節やRohon-Beard様細胞異常が神経堤細胞自身の異常によるものであるかどうかを検討中である. 3)Six1/Six4標的遺伝子の同定 野生型およびSix1/4二重欠損マウス胚の脊髄神経節をマイクロダイセクションにて分離し,RNAを抽出した.遺伝子の発現プロフィールをマイクロアレーで解析し,Six1/4二重欠損欠損マウスで特異的に発現増強や発現低下の見られる遺伝子を同定した.これらの発現をin situハイブリダイゼーションで観察するためのプラスミドを構築した.
|