研究課題/領域番号 |
18390065
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
矢田 俊彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (60166527)
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研究分担者 |
中田 正範 自治医科大学, 医学部, 准教授 (10305120)
出崎 克也 自治医科大学, 医学部, 講師 (90337329)
藤原 研 自治医科大学, 医学部, 助教 (00382945)
鳥谷 真佐子 自治医科大学, 医学部, COEポストドクター (90420819)
前島 裕子 自治医科大学, 医学部, 助教 (40438669)
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キーワード | 摂食 / グルコース / NPY / BDNF / CRH / ウロコルチン / グレリン / レプチン |
研究概要 |
1.摂食亢進系弓状核NPYニューロンの入力系シグナルと情報統合について解析した。グレリンによるNPYニューロン[Ca^<2+>]_i増加はレプチンの共添加により抑制された。レプチンの抑制作用は、PI3キナーゼ阻害剤とホスホジエステラーゼ3(PDE3)阻害剤によって消失した。さらに、グレリン脳室内投与による摂食亢進はレプチンの共投与により有意に抑制され、この抑制作用はPDE3阻害剤の前投与により消失した。以上の結果より、レプチンはPI3キナーゼとPDE3を介するシグナル伝達により、グレリン入力を抑制的に修飾し、その結果摂食行動を抑制することが明らかとなった 2.AMPキナーゼは、空腹時に増加する細胞内エネルギーセンサー分子と考えられている。グレリンによる弓状核NPYニューロンの[Ca^<2+>]_i増加が、AMPキナーゼ活性化により一部仲介されていることを見いだした。 3.Brain-derived neurotrophic factor(BDNF)をラット脳室内に投与すると、視床下部室傍核において摂食抑制因子CRHとUrocortinの発現を上昇させた。BDNFの脳室内への連日投与は、摂食、体重を顕著に減少させ、脂肪量減少、呼吸商低下(脂肪利用の指標)、体温上昇を起した。BDNFのこれらの作用はCRH-R2特異的阻害剤により抑制された。以上の結果より、BDNFは室傍核のCRH、 Urocortinの発現を上昇させ、主にCRH-R2を介して長期的な摂食抑制とエネルギー消費促進を起し、その結果体重を減少させることが示された。 4.新規の脂肪-脳軸性の摂食抑制物質であるNesfatin-1は視床下部室傍核に局在し、CRHニューロンと共存することを見出した。室傍核においてNesfatin-1がCRHと共にBDNFの出力糸として機能している可能性が示唆された。
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