研究課題/領域番号 |
18390067
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
久保 義弘 生理学研究所, 分子生理研究系, 教授 (80211887)
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研究分担者 |
斉藤 修 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (60241262)
立山 充博 生理学研究所, 分子生理研究系, 准教授 (30276472)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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キーワード | 生理学 / 神経科学 / 生体分子 / 蛋白質 / シグナル伝達 |
研究概要 |
我々は、マウス小腸由来のSTC-1細胞にカフェインを投与すると細胞内Ca^<2+>濃度の上昇が起こること、この応答が、Phospholipase C(PLC)の阻害剤によって抑制されることを見いだした。この現象は、STC-1細胞にGq結合型の代謝型受容体が存在することを示唆する。そこで、ツメガエル卵母細胞を用いた機能発現法によるこの分子のクローニングに取り組んだが、cDNAの単離には至らなかった。 一方で、STC1細胞を用いた機能解析を継続していたところ、カフェインに対する応答が細胞外Ca^<2+>を取り除くと消失すること、Transient Receptor Potential(TRP)チャネルのブロッカーによって、抑制されることを見いだした。この現象は、代謝型受容体ではなく、カフェイン感受性を持つTRPチャネルの存在を示唆する。そこで、STC1細胞に発現しているTRPチャネルをPCR法により単離し、HEK 293細胞、およびツメガエル卵母細胞を用いた異所性発現実験を行い、マウスTRPA1チャネルがカフェインによって活性化されることを新規に発見した。また、TRPA1チャネルを発現している後根神経節の感覚神経細胞もカフェインによって活性化され、TRPA1チャネル遺伝子を破壊したノックアウトマウスでは、この応答は見られなかった。特異抗体を作成して、TRPA1チャネルの発現パターンを観察したところ、舌の神経細胞線維で強い発現が観察された。さらに、野生型マウスでは、有意に、カフェインを含む飲料水を忌避する行動が見られ、ノックアウトマウスでは、忌避が観察されなかった。 以上の結果から、マウスTRPA1チャネルは、カフェインによって活性化されること、そして、TRPA1チャネルがカフェインを含む飲水の忌避行動に役割を果たしていることが明らかになった。
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