研究課題
持続が数日の伸張性収縮(LC)負荷による筋性疼痛のモデル(遅発性筋痛、DOMS)を作成し、機械痛覚過敏に関わる要因(筋側?または神経側?)を絞り込むことを目的とする。本年度は以下の点を明らかにした。1)取り出し筋標本を用いて、筋圧迫に伴ってATPが放出されることをLuciferin-Luciferase法により明らかにした。また、DOMSが生じた筋(LC2日後)と、非処置筋でATP遊離量を比較したところ、刺激反応関係、繰り返し刺激による遊離量の減少とも、有意な差は見出されなかった。2)ブラジキニン(BK)受容体拮抗薬及びCOX2に選択性の高い消炎鎮痛薬をLC前、LC2日後に投与したところ、両薬物ともにLC前に投与したときのみDOMSの発現を抑制した。LC直後にB2受容体拮抗薬を投与した場合もDOMSの発現は抑制されなかった。B1拮抗薬も無効であった。また、COX2 mRNAの筋における発現がLC直後に増大し、1日後には元に戻ることが示された。このことより、LC時に産生・放出されるBK、プロスタグランジンがDOMS生成の引き金を引くと考えられる。3)筋の機械痛覚過敏を起こす物質として、運動筋における神経成長因子NGFのmRNA発現をRT-PCRにより調べたところ、COX2とは異なりLC直後には増大せず、1日後から増大することが明らかになった。4)LC後の後根神経節(DRG)に発現が増加しているチャネル・受容体分子を明らかにするため、suppression subtractive hybridization法により対照動物のDRGとの間に発現差のある遺伝子を検索した。発現が増加した数十種類のcDNAの配列から演繹される遺伝子のうち、calbindinとannexin 1に注目してQPCRを試行した。その結果、LC2日後に対照動物に比べて両cDNAの増大傾向が観察された。
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