研究概要 |
蛍光タンパク遣伝子の導入により可視化したラットGnRHニューロンの初代培養細胞あるいは脳スライスを材料として、穿孔パッチクランプ法によるGABA_A受容体電流測定、イオンイメージング法による細胞内Ca^<2+>イオン濃度の変動、培地へのGnRH定量を行った。GABA、アロプレグナノロンやテトラヒドロデオキシコルチコステロンがGABA_A受容体を活性化し、GnRHニューロンの脱分極、「Ca<2+>」iの増加とGnRH分泌を起す。GABA作用はNKCC1阻害剤であるBumetanideにより遮断されるので、GnRHニューロンではNKCC1の活性が高く、KCC2の作用が弱いため細胞クロライドイオン濃度[C1^-]が高く、GABA_A受容体の活性化によりC1^-の流出による脱分極が起こり、これにより電位依存性Ca^<2+>チャネルが活性化してGnRH分泌に至ることを見いだした。GABA_A受容体は5量体で通常2つのα,2つのβ,1つのγサブユニットから構成されてアニオンチャネルを形成するが、GnRHニューロンではα2,β3,およびγ1またはγ2サブユニットの発現演RT-PCRで確認された。ニューロステロイドによるGABA_A電流の増強が観察されたのはγ2を発現するGnRHニューロンであった。GABA_A受容体活性化の修飾を上述のニューロアクティブステロイドやメラトニンで観察した。メラトニン受容体の活性化はcAMPの合成を抑制し、PKAによるGABA_A受容体βサブユニツトのリン醗化を妨げるか、あるいはGABA_A受容体とMT1受容体の分子間相互作用により、GABA_A電流が修飾されると現時点では考えている。今後ソマトスタチンやアルコールによる修飾について検討を進める。
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