我々は、酵母ツーハイブリッド法を用いて成人ヒト心臓cDNAライブラリーから新規エンドセリンA型受容体C末端領域(ET_AR C-tail)結合蛋白質としてJab1を単離・同定した。Jab1はET_ARのユビキチン化、リソソームでの蛋白質分解を亢進させてET_ARレベルを調節していることを明らかにした(Biochemical Journal投稿中)。さらに、アゴニストであるET-1でET_ARを刺激するとアゴニスト誘導性の蛋白質分解が引き起こされ、ET_ARレベルは時間依存的に減少していく一方、ET_ARに結合しているJab1量が増加すること、またET_ARより代謝回転が速いエンドセリンB型受容体ET_BRでは、ユビキチン化が亢進し、より多くのJab1と結合していることが明らかになった。これらの結果より、Jab1とET受容体との結合様式とET受容体の蛋白質分解に強い関連性が認められた.ET受容体のJab1結合部位として、ET-1刺激によってリン酸化ざれるセリン、スレオニンが豊富に存在する部位やET_ARには存在しない(もしくは似たモチーフが存在する)が、ET_BRに存在するモチーフが関与する可能性が考えられる。これらの条件を満たすモチーフとしてET_BR C-tailに存在るセリンクラスターが挙げられる(ET_AR C-tailには類似したモチーフが存在)。今後、セリンを変異させたmutamtを作製し、Jab1との結合様式やET受容体の蛋白質分解速度の変化について検討していく予定である。また、Jab1によるET_ARレベル調節の病態学的意義を明らかにするため、ET_ARレベルが亢進している病態(心不全、高血圧、動脈硬化症)のモデル動物を作製し、ET_ARレベルの亢進にJab1が関与しているかどうか検討する予定である。
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