研究概要 |
血管トーヌスや透過性調節など多くの内皮機能の発現、調節に細胞内カルシウムイオン(Ca^<2+>)濃度の変化が関与し,とくに細胞外からの容量性Ca^<2+>流入が重要であることが注目されている。 平成19年度研究では,以下の研究方法に従い,容量性Ca^<2+>流入を保持した培養血管内皮細胞系と,容量性Ca^<2+>流入が失活した細胞系とで発現量が変化する遺伝子群を網羅的に取得し,得られたcDNAの遺伝子配列を決定し,Functional DNAチップを作製した。 1)対象:ブタ下行大動脈血管内皮細胞から分離樹立した容量性Ca^<2+>流入が失活した培養血管内皮細胞系(D系)と,容量性Ca^<2+>流入を保持した細胞系(W系)を対象とした。 2)D系と,W系とで得られた遺伝子フラグメントをAffymetrix 417Arrayerを用いてスポットしFunctional DNAチップを作製した。容量性Ca^<2+>流入応答が変化する事が知られる,ミオシン軽鎖キナーゼ阻害薬やチロシンキナーゼ阻害薬曝露後の検体により変化する遺伝子の発現解析を,平成18年度研究の方法に準じて行った。細胞機能変化である細胞質および核内Ca^<2+>動態解析は,蛍光色素法を用いイオン特異性蛍光プローブであるfluo-3/AMを細胞に負荷し,励起波長480nm,蛍光波長530nmでの蛍光強度の変化を画像解析装置により測定した。核の部位は,顕微鏡下で識別可能であるが,propodium iodideとのdual loadingを行い確認した。 3)シーケンス配列解析は,ベースコールされた全ての配列(input sequence)について配列解析処理を行い,塩基配列データベースに対するBLASTホモロジーサーチはNCBIのnon redundant核酸データベースを用いた。
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