研究課題/領域番号 |
18390082
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
和泉 孝志 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70232361)
|
研究分担者 |
立井 一明 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (00192633)
大日方 英 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助手 (50332557)
岸 美紀子 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助手 (90396630)
|
キーワード | 生理活性脂質 / Gタンパク質共役型受容体 / 酸化遊離脂肪酸 / リノール酸酸化物 / DNA損傷 / ストレス応答 |
研究概要 |
本研究の目的は、G2Aと呼ばれるGタンパク質共役受容体の生理機能を明らかにすると共に病態との関連を解明し、新たな診断・治療法を確立するための基礎的な研究を行うことにある。 G2Aは、9-HODEや11-HETEなどの遊離酸化細胞酸をリガンドとする受容体で、様々なDNA損傷刺激によって誘導され、リガンド刺激によって細胞周期の停止を引き起こすことが知られていたが、その生理機能は不明であった。 我々は、常に紫外線や酸素、炎症等によって酸化ストレスに曝されている、皮膚の表皮角化細胞(ケラチノサイト)に注目し、G2Aに関する研究を行った。その結果、ヒトケラチノサイトにG2Aが発現しており、紫外線照射、過酸化水素刺激によって、酸化ストレスの指標が上昇すると共に、G2Aが誘導されることを明らかにした。 また、9-HODE刺激によって、ヒトケラチノサイトの細胞周期は停止し、強い増殖抑制が生じることを、FACscan解析やBrdUの取り込み実験によって明らかにした。この増殖抑制は、細胞の形態異常を伴っていた。また、このとき炎症性のサイトカインの産生増加が観察された。 次に、直接紫外線を照射するとリノール酸が9-HODEに変換することを、LC-MS(液体クロマトグラム-質量分析計)によって確認した。また、リノール酸を取り込ませたケラチノサイトに紫外線を照射すると、膜抽出脂質をホスホリパーゼA2によって分解したときのみ9-HODEの産生が観察されることを見出した。この結果は、グリセロリン脂質に取り込まれた状態で、リノール酸が9-HODEに変換されることを示している。 これらの研究によって、皮膚の表皮角化細胞において、G2Aは酸化ストレスによって引き起こされる炎症反応や生体防御反応に関与している可能性が考えられた。
|