研究課題
我々は昨年度の本研究課題において、Ad4BP/SF-1遺伝子上に胎仔副腎特異的発現を担うエンハンサーを同定した。本エンハンサーは第4イントロンに位置し、Ad4BP/SF-1遺伝子以外の基本プロモーターとの組み合わせにおいても胎仔副腎における発現を誘導することが可能である。また、このエンハンサーはAd4BP/SF-1の結合サイトを有し、遺伝子発現がスタートすると自己制御を通じ遺伝子発現を持続させることが出来る。18年度の研究においては、このエンハンサーを用いてAd4BP/SF-1を強制発現させることで、Ad4BP/SF-1の発現量が胎仔副腎の発生に対していかなる影響を与えるかを検討した。一方、胎仔副腎エンハンサーでLacZ遺伝子をドライブしたトランスジェニックマウスを作製し、胎仔副腎細胞をLacZの発現を通じて検出することとした。これらの2系統のマウスを交配し胎仔を得たところ、LacZ陽性の胎仔副腎細胞の存在を確認するとともに、腹腔内には副腎より頭部側にLacZ陽性の複数の細胞隗を見いだした。そこで、各種マーカー遺伝子の発現を通じ、これらの細胞を調べたところ、この細胞はP450sccや3b-Hsdなどの、ステロイド産生に不可欠な遺伝子を発現していた。これらの遺伝子は副腎皮質細胞と生殖腺ライディッヒ細胞の両者に発現するので、副腎特異的発現を示すP450c21の発現を検討したところ、これらの細胞隗にもその発現が認められた。これらの結果は、Ad4BP/SF-1の強制発現が本来の副腎皮質の頭部側に異所性に副腎皮質を形成すること示唆するものであった。魚類においては副腎の位置が哺乳類に比べ頭部側に位置していることが知られている。系統発生学的に魚類が哺乳類のより未分化な状態を反映している仮定すれば、Ad4BP/SF-1の強制発現が頭部側に副腎を形成することは理解できるところである。本研究は動物種間における副腎形成の進化を議論する基本的結果をあたえるものである。
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