研究概要 |
申請者は網膜の発生の中で、網膜未分化前駆細胞から網膜視細胞への運命決定機構の解明を目指している。申請者らは、本研究で転写因子Otx2がCrxと共同して視細胞の後期分化に必要であることを見出し報告した(Koike et al.,2007)。さらに網膜視細胞の運命決定機構の解明を目指して、交付申請書に記載した4つの研究項目を行い、研究成果を得ている。1)視細胞の運命決定に必須であるOtx2遺伝子の発現制御因子の同定。我々はOtx2のプロモーター解析を、トランスジェニックマウスを用いて行い、Otx2遺伝子上流に存在する500bpの領域を視細胞エンハンサーとして同定することに成功し,上流制御因子の候補を3つ同定した(論文準備中)。現在さらに解析を継続している。(2)新たな網膜視細胞特異的リプレッサーMR-Sの解析と錐体の運命決定機構の解明。Mr-sが視細胞特異的転写因子PNRと会合し、錐体桿体のサブタイプの分化に関わることをmr-s/PNRダブルノックアウトマウスの解析から明らかにした(論文準備中)。(3)胎生期の視細胞(錐体)に発現する転写因子raxのコンディショナルノックアウトによる解析。申請者はrax-floxマウスの作成に成功し、CrxプロモーターCreERT2トランスジェニックマウスを掛け合わせ、タモキシフェンの投与により、raxの視細胞特異的ノックアウトマウスを作成し、現在網膜表現型を解析中である。(4)Crx-GFPトランスジェニックマウス作成による錐体の発生の解析。申請者はCrx-GFPトランスジェニックを作成し、実際にGFPの発現がCrxの発現を再現することを確認している。FACSソートにより、GFP陽性細胞を精製し、遺伝子発現を検定したところ、Crx陽性Pax6陰性で、予想されたように視細胞前駆細胞を単離することができた。これを用いて錐体の発生に関わる遺伝子の単離を目指して解析中である。
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