研究課題
約24時間周期の概日リズムは地球上にすむほぼすべての生物にそなわる基本的生命現象である。今日なお「フィードバックループがなぜ24時間なのか」「時計遺伝子の振動が如何にリズムアウトプットとしての表現型に結びつくのか」等、概日リズム本体に迫る疑問は依然不明のままである。本研究の全体構想は、細胞時計の概日振動そのものをモニターする系を確立することにより、これらの本質的な問題を解き明かそうというものであり、最終的にはin vivoでの記録・解析を目指す。哺乳類時計遺伝子の概日発現は転写フィードバックループに基づいて、時計転写因子であるCLOCK, BMAL1はE-boxとよばれるプロモーターエレメントと結合することにより、時計遺伝子の遺伝子発現を制御することが知られている。我々は、細胞自律的な時計遺伝子の概日転写に必要なシスエレメントを新しく同定した。この新規エレメントはE-box及びその6塩基下流にE-box様配列を有する新規EEエレメントである。我々は、既に確立したIV-ROMS(in vitro real-time oscillation monitoring system)を利用して、EEエレメントの両方のE-boxが細胞自律的な振動を形成するのに必要であり、2つのE-box間の決まった長さ(6〜7塩基)が顕著な振動には決定的であることを明らかにした。さらに、ゲノムワイドの網羅的解析により、他の時間変動遺伝子の中にもこのEEエレメントが存在することを示した。以上の事から、概日転写制御には、従来のE-boxではなく、EEエレメントが重要であると示唆される。一方、発光顕微鏡を用いて、線維芽細胞培養系における時計遺伝子プロモーター下の発光リズムの可視化、連続定量記録を確立し、概日振動リズムの単一細胞記録に成功した。
すべて 2006
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