研究代表者 松本直通は、平成18年度〜平成20年度科学研究費補助金「基盤研究(B)」の補助のもと、「マイクロアレーCGHによるゲノム病責任遺伝子の探索研究」の課題(課題番号18390108)で、自身で開発したBAC2173個からなる2.1KBACマイクロアレーおよびBAC4234個からなる4.2KBACマイクロアレーを用いて、精神発達遅滞(MR)を伴う種々の先天奇形症候群を中心とするゲノム病候補疾患のゲノム解析を行いゲノム異常領域から疾病責任・感受性遺伝子を単離することを目的として行われた。さらに自然流産物のゲノムにおける微細構造異常解析を行い、これらヒト発生におけるゲノム異常の遺伝的寄与度を明らかにした。ゲノム病と考えられたAicardi症候群、Coffin-Siris症候群においては、病的ゲノム異常を同定するに至らなかったが、マイクロアレーで同定された家族性Angelman症候群の詳細な微細欠失解析を塩基レベルで行い、さらに先天性無鼻症、非定型ダウン等のアレーを用いたスクリーニングおよびゲノム異常解析を行いゲノム異常部位を同定することが可能であった。 本研究のもう一つの重要な柱は新しいマイクロアレープラットフォーム4.2K BACアレーの確立であった。ゲノム微細構造異常を同定する精度を向上させるため、新たにBACを追加、FISHによる検証を行い、2.1Kアレーの2倍の高密度アレーを開発・確立した。この新しいアレーはヒト疾患ゲノム解析において極めて有力な解析のツールであることが示された。
|