研究課題
(1)肉芽腫形成をトリガーするP.acnesの細胞内増殖を再現する目的で、ソソーム融合阻害剤であるBafilomycinを添加した条件下で蛍光顕微鏡および電子顕微鏡を用いた経時的観察を行った。Bafilomycin存在下ではファゴソームのマーカーであるLAMP-1陽性の空胞から菌体が脱出し、LC3に囲まれた菌体が増加していた。Bafilomycinを用いたことで細胞内消化が阻害され、アクネ菌がエンドソームから細胞質へと脱出し、その結果オートファジーが亢進したものと考えられる。オートファジーの亢進はTh1型免疫反応を誘導することから、生体内でもアクネ菌が細胞内増殖し細胞質への脱出する際オートファジーが亢進することでTh1型過敏性免疫反応が誘導され、サルコイドーシス肉芽腫が形成されるものと推察された。(2)サルコイドーシス患者病変部においてオートファジーが生じているか否かを検討するために、パラフィン切片でも免疫染色可能なLC3に対する単クローン抗体を作成した。本抗体を用いて病変部リンパ節を免疫染色すると、マクロファージ細胞内で増殖する小型円形のL型菌体やHW小体を取り囲むようにLC3が陽性となったことから、本菌の潜伏感染および細胞内増殖においてオートファジーが関与していることが判明した。(3)通常マウスおよびSCIDマウスにP.acnes生菌を経静脈的に感染させ肝臓クッパー細胞内に取り込まれた菌の経時的観察を行った。多くの菌体は投与後4週までに殺菌されたが、SCIDマウスではその一部が投与後3ヶ月時点でも培養可能であった。潜伏感染が成立している実験動物を用いてその後の内因性再燃に伴う細胞内増殖現象を再現し、オートファジーの亢進に伴う肉芽腫形成を検討中である。
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