研究課題/領域番号 |
18390115
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
米満 吉和 千葉大学, 大学院医学研究院, 客員教授 (40315065)
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研究分担者 |
居石 克夫 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (70108710)
中川 和憲 九州大学, 大学院医学研究院, 講師 (50217668)
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キーワード | PKC eta / 血管新生 / 動脈硬化 / リンパ管新生 / 間葉系細胞 |
研究概要 |
本研究では我々が専門とする「病理学」的手法、すなわち形態学的解析の特徴をフルに生かし、これまでの知見とコンセプトをヒト病変で裏付け、さらに実験動物へフィードバックするという、融合的研究手法を確立し、生体内における生理的・病的血管新生の本態に迫ることを目的とする。 具体的には動脈硬化とがんへ焦点を絞り、特に血管新生因子群および炎症反応の相互連関を中心に解析し、全く新しいコンセプトに基づく治療系構築のための基礎情報を得ることを目指す。 本年度の研究成果として、 (1)糖尿病マウス重症虚血肢において各種血管新生因子の発現と刺激による発現誘導システムは維持されているが、PDGF-BBの発現のみが低下していること、これはPKCの慢性的活性化に依存している(Circ Res 2006)、 (2)FGF-2過剰発現はVEGF-Cの発現を増強し、リンパ管新生を促進すると共に、誘導されたVEGF-CはPDGF-Bの発現を増強し、新生毛細血管の構築に関与する(投稿中)、 (3)FGF-2依存性血管新生の血流再開作用に炎症性ケモカインMCP-1が重要であり、間葉系細胞においてPKC、NF-κB系により制御されている(Arterioscler Thromb Vasc Biol 2006)、 (4)FGF-2依存性血管新生の血流再開作用にVEGFファミリーであるPIGFが積極的役割を果たしている(投稿中)、 (5)PKCetaのSNPsが高血圧の発症に重要であり、剖検症例を利用してその発現が実際に生体内に存在することを裏付けた(Nature Genet 2007,共同研究)ことを証明した。 このように各種病態において血管新生とリンパ管新生そして炎症反応は不可分の現象、かつ病勢を決定する重要な生理システムであること、さらにそのプロセスにおいて間葉系細胞が必須かつ多彩な機能を持つことが明らかになった。(786字)
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