これまでのSIGNR1に関する研究を発展させる観点から、そのホモログであるSIGNR3に特異的な単クローン抗体を作製して、発現細胞の生体内分布ならびにその同定を行った。先ず、WesternblottingによりSIGNR3が皮膚やリンパ節、胸腺に発現していることを確認し、次に皮膚の組織染色およびflowcytometryによりSIGNR3陽性細胞は真皮に分布するCD45とCD11b陽性であることから骨髄に由来するミエロイド系細胞であり、さらに組織染色からCD11c+樹状細胞およびCD11c-マクロファージの一部であることが明らかとなった。また、体表リンパ節においても、濾胞間、B細胞領域とT細胞領域の境界、髄質に多く分布しており、HEV周辺にもSIGNR3陽性細胞が少数ではあるが存在していた。また、flowcytometryでLy6Cint-lowの表現型を示すCD115陽性の比較的成熟した単球にも発現が認められた。 一方、DCIR1は樹状細胞に限らず、B細胞、顆粒球、単球、マクロファージなど多様な細胞に発現されていることがWestern blottingおよびflowcytometryによって確認されたが、興味深いことに定常状態では多くが細胞質内に存在し、炎症性サイトカインやTLRを介する刺激により新たな蛋白合成を介することなく細胞表面へと輸送されることが示された。また、炎症応答によって誘導される好中球においては細胞表面における発現が増強されることが示された。DCIR1はEPNモチーフを揺することから、マンノース/フコースを認識することが考慮される。そこで、四量体を作製してzymosanやheat-killedあるいは生菌のC. albicansへ結合することを確認した。また、細胞内シグナル伝達に関しては、トランスフェクタントを用いて実験を行い、刺激によりmDCIR1のリン酸化が誘導され、この時SHP-1およびSHP-2を結合していることが明らかになった。
|