IRF-2遺伝子欠損マウスでは急性出血性膵炎がウイルスだけでなく合成二重鎖RNAの腹腔内投与によっても起こる。そしてDNA microarrayによってIRF-2遺伝子欠損マウスの肺臓において合成二重鎖RNAを投与したときにのみ誘導される遺伝子群の中にIL-22(膵外分泌細胞特異的サイトカイン)が含まれることを同定したことから、IRF-2遺伝子欠損状態での膵臓のIL-22感受性の変化を明らかにすること、そしてIL-22受容体遺伝子とIRF-2遺伝子を二重に欠損したマウスの作成をおこなうことを目標とした。IRF-2遺伝子欠損状態での膵臓のIL-22感受性の変化を検討するためにマウス膵外分泌腺由来細胞株266-6を用いてレトロウイルスベクター(pSUPERretro vector)によるIRF-2 RNAiノックダウン実験をおこなったが選択マーカーであるピューロマイシン耐性細胞の中からIRF-2がノックダウンされた細胞はえられなかった。IRFファミリーの結合配列であるISREをIL-22のイントロン1に見出しEMSAにてIRF-2遺伝子欠損マウス脾臓で特異的に消失するバンドを同定したが、そのバンドはIRF-2抗体によってもスーパーシフトが起こらなかった。またIRF-2遺伝子欠損マウスにrIL-22を投与しても膵炎の指標となるアミラーゼの上昇は起こらなかった。IL-22受容体遺伝子欠損マウスの作成のためにexon2-exon4の部分をNeo^rのカセットと置換したベクターを構築し、ES細胞E14Kへelectroporationを行い、G418処理で耐性クローンを選択後、耐性クローンの中から相同組み換えが起こったクローンを選択する作業をおこなった。現在までに約800個のG418耐性コロニーのスクリーニングを行い3つの陽性クローンプールを得てクローニング作業を行っているところである。
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