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2008 年度 実績報告書

細胞内寄生性細菌由来の細菌性モジュリンの感染細胞内作用機構の解明とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 18390134
研究機関京都大学

研究代表者

光山 正雄  京都大学, 医学研究科, 教授 (10117260)

キーワード細胞内寄生性細菌 / 細菌性モジュリン / リステリア菌 / 結核菌 / サイトカイン / マクロファージ
研究概要

細胞内寄生性細菌であるリステリア菌および結核菌が有する細菌性モジュリンの感染細胞に対する作用を、主としてサイトカイン応答を中心として解析した。リステリア菌が産生するリステリオリシン(LLO)の遺伝子(hly)欠損変異株に種々の変異hly遺伝子を相補した株、および、サイトカイン誘導活性のないilo遺伝子を相補した上に更にプラスミド性の各種遺伝子を組み込んだ株を作成した。これらを用いた実験から、LLO分子の第1ドメインがおそらくNALP3を介して認識され、ASC依存的なインフラマソーム形成が起こってカスペース1が活性化される結果、IL-18の成熟分泌が起こってγインターフェロンが誘導される機序が明らかとなった。LLOを介した宿主細胞への細胞質内シグナルは、カルパインを活性化し、活性化カルパインが作用して成熟するIL-1αの分泌を促すことが示された。予備的ではあるが、リステリア菌で誘導されるI型インターフェロンも一部カスパーゼ1活性化に関与することが示された。リステリア菌に対する自然免疫応答に関わるTLR2を介したシグナルが、リステリア菌体の貪食促進にも関与することが明らかとなった。
結核菌の病原因子遺伝子クラスターであるRD1領域の欠損変異株を用いて、RD1領域産物がマクロファージにおけるカスペース1活性化を誘導すること、その過程にはRD1領域産物を含むタイプVII分泌機構による宿主細胞膜でのKイオン流出が関与することを示した。さらに、結核菌の未知の病原因子が、宿主のPD-L1/PD1システムを活性化した抑制性シグナルを強く誘導する結果、感染防御に働くCD4+T細胞の持続を抑制して慢性感染を可能にしていることを示唆する成績が得られた。
以上より、宿主マクロファージは細胞内寄生性細菌の異なったモジュリンを認識し、カスパーゼ活性化など獲得免疫成立に必須の応答を起こすことが示された。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] RD1 locus in Mycobacterium tuberculosis genome contributes to the activation of caspase-1 via induction of potassium ion efflux in infected macrphage.2009

    • 著者名/発表者名
      Tekashi Kurenuma, et al.
    • 雑誌名

      Infection and Immunity 77

      ページ: accepted

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Critical involvement of pneumolysin in production of IL-1α and caspase-1- dependent cytokines in infection with Streptococcus pneumoniae in vitro : a novel function of pneumolysin in caspase-1 activation.2008

    • 著者名/発表者名
      Shereen Shoma, et al.
    • 雑誌名

      Infection and Immunity 76

      ページ: 1547-1557

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Dependency of caspase-1 activation induced in macrophages by Listeria monocytogenes on cytolysin, Listeriolysin O, after evasion from phagosome into the cytoplasm.2008

    • 著者名/発表者名
      Hideki Hara, et al.
    • 雑誌名

      Journal of Immunology 180

      ページ: 7859-7868

    • 査読あり
  • [学会発表] 細胞内寄生性リステリア病原因子による宿主免疫応答の誘導機構2009

    • 著者名/発表者名
      光山正雄
    • 学会等名
      第82回日本細菌学会(浅川賞受賞講演)
    • 発表場所
      名古屋市国際会議場
    • 年月日
      2009-03-13
  • [学会発表] Mycobacterium tuberculosis, Listeria monocytogenes and the host cytokine response2008

    • 著者名/発表者名
      光山正雄
    • 学会等名
      The 11st Kyoto University International Symposium in Shanghai
    • 発表場所
      上海復旦大学上海医科大学ホール
    • 年月日
      2008-10-11
  • [学会発表] 細菌感染に対する免疫応答2008

    • 著者名/発表者名
      光山正雄
    • 学会等名
      第38回日本耳鼻咽喉科感染症研究会(特別講演)
    • 発表場所
      松江市島根県民会館ホール
    • 年月日
      2008-09-05
  • [学会発表] Critical involvement of bacterial virulence factor in the host immune response to Listeria monocytogenes2008

    • 著者名/発表者名
      光山正雄
    • 学会等名
      IUMS2008 (Plenary Lecture)
    • 発表場所
      トルコイスタンブール国際会議場
    • 年月日
      2008-08-08
  • [学会発表] 感染症を巡る最近の進歩2008

    • 著者名/発表者名
      光山正雄
    • 学会等名
      第134回目本医学会シンポジウム
    • 発表場所
      東京日本医師会館大ホール
    • 年月日
      2008-07-17
  • [学会発表] 細胞内寄生性細菌リステジアの病原因子と宿主免疫応答2008

    • 著者名/発表者名
      光山正雄
    • 学会等名
      日本乳酸菌学会2008年度年次大会(特別講演)
    • 発表場所
      京都市京都大学百周年時計台記念館ホール
    • 年月日
      2008-07-14
  • [図書] Handbook of Listeria monocytogenes2008

    • 著者名/発表者名
      Masao Mitsuyama
    • 総ページ数
      540
    • 出版者
      CRC Press (New York)

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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