研究課題/領域番号 |
18390137
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
後藤 直正 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30121560)
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研究分担者 |
福島 淳 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (00181256)
皆川 周 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (50445962)
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キーワード | 緑膿菌 / Pseudomonas aeruginosa / 病原性発現 / Quorum sensing / ホモセリンラクトン / 排出システム / Efflux system |
研究概要 |
緑膿菌の幾つかの病原因子の発現は、acyl-homserine Iactone誘導体(acyl-HSL)を含めたautoinducers(Als)を介したQuorum Sensing システム(QS)によって制御されている。「緑膿菌は生育環境から細胞内に透過したacyl-HSLをRND型排出システム(Mexシステム)で選別し、必票なacy1-HSLに対してQS制御を行なっている」という作業仮説の検証を行い次の結果を得た。PAO1株からacyl-HSLsの合成遺伝子を欠損させたKG7004(Δlasl Δrhll)及び、さらにMexAB-OprMの内膜ゴンポーネント遺伝子mexBを欠損させたKG7050(Δlasl Δrhll ΔmexB)を作成した。また、lasBやrhlAのプロモーター領域を個別にe-gfp遺伝子と融合させたレポーター株の培養液に、合成したacyl-HSLsを添加し、QS応答をGFP蛍光強度として測定した。同時にQSによって発現制御されるピォシアニンとエラスターゼの産生量を測定した。acyl-HSL誘導体によるlastBおよびrhllAの発現を比較したところ、緑膿菌が産生するacyl-HSLでの発現が最も高かった。mexBの欠失はC8〜14の3-oxo-Cn-HSLに応答した治lasBの発現を異なる割合で増加させた。各遺伝子の発現とピオシアニンやエラスターゼの産生量の変化は一致した。さらに、Vibrio anguillarumとの共培養では、排出システムの欠失によってlasBの発現量が増加した。これらのことから他の菌種の産生するAlsの選別に緑膿菌の排出システムが関わっていることを示している。以上の結果から、緑膿菌では、MexAB-OprMが多剤耐性に関与しているだけではなく、応答すべきacyl-HSLsを選別し、QSを制御していることが示された。
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