研究課題
酵母形質膜下のTwo-Hybrid法 "CytoTrap法" を用いて同定したHIV Gag粒子形成の新規責任宿主因子AUPIの作用機序を解析した。 AUP1mRNAにはイントロンが残存するisoform1(unspliced form)とisoform2(spliced form)が報告されている。 isoform1にはイントロン内に終止コドンが出現し、 N末端で停止した断片が発現すると考えられた。組織パネルを用いてAUP1mRNAの発現プロファイルを調べたところ、いずれの組織でも両者のisoformの発現が認められた。これらの発現ベクターを作製しHIV-1cDNA分子クローンとHeLa細胞で共発現させたところ、 isoform2はHIV産生量を増加させるのに対し、 isoform1はHIV産生量を顕著に減少させることが判明した。そこで、 isoform1から発現すると考えられるN末端断片と、その下流であるC末端断片をそれぞれ作製し、上述と同様に調べたところ、 N末端断片はHIV産生量を顕著に減少させたのに対し、 C末端断片には効果はなかった。このHIV産生阻害活性はAUP1N末端約40アミノ酸においても認められた。共焦点レーザー顕微鏡でAUP1の細胞内局在を調べたところ、全長AUP1やC末端断片はいずれも細胞質の核近傍領域に局在したのに対し、 N末端断片ではそのような局在はなく細胞質全体に網状に分布した。オルガネラマーカーと共染色したところ、核近傍に認められたisoform2は後期エンドソームのCD63、トランスゴルジネットワークのTGN46と共局在し、一方、 N末端断片は小胞体のCalnexinと共局在することが判明した。 HIV-1共発現細胞で調べたところ、 Gag蛋白はisoform2やC末端断片を共発現させた場合には形質膜に局在したが、 N末端断片を共発現させた場合はGag蛋白量が減少し細胞質網状に分布した。
すべて 2008
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