研究課題/領域番号 |
18390146
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
小原 道法 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 参事研究員 (10250218)
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研究分担者 |
楳原 琢哉 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (00415548)
安井 文彦 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (40399473)
井上 和明 昭和大学, 医学部, 助教授 (90232529)
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キーワード | C型肝炎ウイルス / 遺伝子複製 / 脂質ラフト / HCVレプリコン / 宿主因子 |
研究概要 |
脂質ラフトは主にスフィンゴ脂質とコレステロールで構成され、それらの合成阻害剤はHCVの複製を抑制する。実際にスフィンゴ脂質の合成経路を阻害すると脂質ラフトの合成が抑えられ、HCVの複製も抑えられることが本研究者らの報告により明らかにされた。一方、コレステロールの生合成経路の途中から分岐した、ゲラニルゲラニルピロリン酸による宿主蛋白質のゲラニルゲラニル化がHCVの複製に重要であることが示された。さらに、ファルネシルピロリン酸からコレステロール合成までの間にもHCV複製に関わる宿主因子あるいは新規のパスウェイが存在することを示唆する結果が得られた。以上の知見から、これらの脂質ラフトの形成に関与している宿主因子のどれかが、HCVのRNAポリメラーゼおよびその他のコードされている蛋白質を活性化する、あるいはHCVの遺伝子複製に必須な宿主因子を活性化していると考えられた。 HCV由来の肝細胞癌組織に多く発現するp55蛋白質を同定し、それがコレステロール生合成系のファルネシルピロリン酸より下流に位置する酵素の一つであることを示した(論文投稿中)。そのp55酵素の阻害剤を用いてHCV遺伝子複製への影響をしらべたところ、その複製が阻害された。これは今までHCV複製に関係ないとされていた経路に関係する宿主因子が実はHCV複製に関係することを示唆させる興味深い結果である。すなわち、p55蛋白質とそれ以外にもファルネシルピロリン酸からコレステロール合成までの間にHCV複製に関わる宿主因子あるいは新規のパスウェイが存在することを示唆させる。そこで申請者はp55蛋白質解析を糸口にして、HCV複製に関与する新規コレステロール生合成因子の検索と解析を行い、HCV複製におけるコレステロール生合成経路の役割を解明することを目的としてさらなる研究を進めている。
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