研究概要 |
In viro系を用いて胚中心B細胞を分化させる系を確立してBcl6のIgクラススイッチと体細胞突然変異の導入抑制機序を解析しようとして,成熟B細胞を抗IgM抗体と抗CD40抗体とIL-4やIL-21で刺激した後,IgG1へのクラススイッチや細胞増殖能を解析した。その結果,培養2日目にIL-21を追加刺激するとIgG1へのクラススイッチや細胞増殖能が著しく高まることを見出した。さらに,IL-4の刺激によりCXCR4陽性のcentroblastタイプの胚中心B細胞が,またIL-21の刺激によりCXCR4陰性のcentrocyteタイプの胚中心B細胞が選択的に分化増殖してくることを見出した。Bcl6欠損B細胞では,IL-4の刺激によりCXCR4陽性のcentroblastタイプの胚中心B細胞の分化増殖は見られず,CXCR4陰性のcentrocyteタイプの胚中心B細胞が選択的に増殖した。これらの結果から,Bcl6はCXCR4陽性のcentroblastタイプの胚中心B細胞の分化増殖に必須であることが示唆された。この過程でBcl6欠損B細胞を抗IgM抗体と抗CD40抗体とIL-4で刺激ずると培養2-3日目には,クラススイッチしたB細胞のほとんどがIgG1とIgEの両方陽性のB細胞であり,その後IgE陽性B細胞が分化してきた。この結果から,Bcl6は19Eへのクラススイッチを抑制することによりIgG1へのクラススイッチを増強していることが明らかとなった。さらに正常マウス由来の成熟B細胞を刺激した後にIL-21で追加刺激するとIgG1へのクラススイッチが著しく増強し,IgEへのクラススイッチが抑制された。この抑制現象は,Bcl6欠損B細胞を用いると見られなかったことから,IL-21がBcl6の発現誘導を介してIgEへのクラススイッチを抑制していることを明らかにした。
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