研究概要 |
ヘルパーT細胞はそのサイトカイン産生能によって大きく1型ヘルパーT細胞(Th1)と2型ヘルパーT細胞(Th2)の二つのサブセットに分類されているが、このTh1/Th2のバランスが破綻した場合には自己免疫疾患やアレルギー疾患の発症につながることから、Th1/Th2反応制御機構の詳細を明らかにすることは生体防御及び免疫系ホメオスターシス維持において非常に重要である。本研究ではSema4AのTh1/Th2反応制御機構の分子メカニズムを明らかにするとともに、Sema4Aをターゲットとした自己免疫疾患及びアレルギー疾患制御の検討を行い、Sema4Aによる効果的なTh1/Th2反応制御法の確立を目的としている。今年度の研究では、リコンビナントSema4Aタンパク投与により、Sema4A欠損マウスで発症するアトピー性皮膚炎様症状のみならず、アトピー性皮膚炎モデルマウスとして知られるNC/Ngaマウスの皮膚炎症状も改善することができることを示した。またリコンビナントSema4A投与により、T細胞のTh2サイトカイン産生能を抑制できることも明らかとなった。一方、セマフォリンシグナル阻害により、Th1優位な自己免疫疾患発症を阻止しうることが、種々の疾患モデルマウスを用いた系により確認された(Nat Cell Biol.8,615-622,2006,J. Immunol.177,3406-3412,2006)。
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