研究概要 |
医師の過重労働、特に当直明け後の連続勤務による診療への影響を評価するシステム(Medical Exhaustion Assessment System,以下「MEXAS」)の開発・検証を目的とし、本年は、病院勤務医を対象に、パイロットスタディを行った。 まず、学生2名と医師2名を対象に実際の測定シミュレーションを行い、測定手法について最終検討した。その結果、ACLSシミュレーションソフトについては、検査実施時間の制約や結果の評価方法上の問題が指摘され、今回の測定項目からは除外することとなった。 次に、実際のパイロットスタディを行った。対象者は、メディカルセンター病院にて当直業務を行っている勤務医10名である。測定手法は、自記式質問表として、睡眠ログにて検査前の睡眠時間の把握、スタンフォード眠気評価尺度にて眠気の評価、厚生労働省「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」、VAS scaleにより疲労度、CES-Dにて抑うつ度を調査した。また、Trail Making Testにて遂行機能、視覚性注意力、Flicker testにて疲労度、集中力、Continuous Performance Testにて注意維持ないしvigilanceを測定した。最後に、自己評価用紙にて、当日の試験の達成度と要した努力度を評価した。 測定は、まずはじめに、学習効果を除外するために、オリエンテーションを行い、検査方法の説明と事前練習を施行した。その後、通常勤務時と当直明け時の2回、前述の測定手法にて測定を行った。現在、データ採取を終了し、結果の解析、評価中である。 今後は、パイロットスタディの結果をもとに、測定方法や対象者につき再検討を行い、断眠や飲酒による認知機能低下との比較検討など、より多角的に医師の認知機能についての検討を行う予定である。
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