研究課題
基盤研究(B)
良好な薬剤師-患者コミュニケーションは、患者の服薬コンプライアンスを向上させ、副作用を防止するうえで、不可欠の要素とされている。近年では、薬に伴う個人リスクの回避に関する問題として、専門家(医師、薬剤師)は使用法や副作用に関する情報を患者にどう伝えるかというリスク・コミュニケーションの問題として検討されている。本研究では、従来の方法に代えて、萩原らが提唱する方法である、薬剤師と患者をペアにし、自記式質問票を用いて、薬剤師の説明の程度に関する両者の認識のズレを用いて、薬に関する薬剤師-患者間のリスク・コミュニケーションについて評価した。対象は福岡県薬剤師会に所属する薬剤師250名、およびその患者1500名で、調査期間は2006年11月から2007年3月までである。薬剤師および患者の調査票の回収率は、それぞれ53.6%(134/250)及び42.9%(644/1500)であった。その結果、以下の点が明らかになった。(1)「薬剤師の説明の程度」「薬剤師の説明に対する患者の理解」「薬剤師の説明、指導、対応の適切さ」に関し、患者よりも薬剤師の評価が高い揚合("Phamlacist better")、患者アウトカムに関して悪影響を及ぼしている。(2)しかも、この知見は、医師・患者コミュニケーションの場合と同じであった。更に、(3)患者よりも薬剤師の評価が高い場合("Pharmacist better")に関連する要因は、薬剤師の年齢、薬剤師1人当りの患者数、薬局の薬剤師数であった。この情報は、今後、薬剤師に対するコミュニケーション研修を行ううえで有益であると思われる。しかしながら、何故このような知見が得られたのかという理由や背景については、更に検討を加える必要がある。また、回収率が低かったので、知見の外的な妥当性については更に慎重に検討する必要がある。
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