研究課題/領域番号 |
18390164
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
大道 久 日本大学, 医学部, 教授 (60158805)
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研究分担者 |
梅里 良正 日本大学, 医学部, 准教授 (60213485)
寺崎 仁 日本大学, 医学部, 講師 (90227512)
橋口 徹 日本福祉大学, 福祉経営学部, 准教授 (20337439)
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キーワード | 有害事象 / 医療事故 / 医療費 / コスト分析 / 病院予算 / 会計モデル / 医療安全コスト |
研究概要 |
本研究は、医療における有害事象の発生によって投入された医療費または資源にどの程度の増加・変動が生じたかを把握するとともに、回避可能であったと考えられた有害事象に着目してその防止のために必要となる資源または費用を推定することで、事故防止と医療の質保証のために投入されるべきコストのあり方を検討することが目的である。今年度は、本研究に協力する16病院を対象に、医療安全確保のために投入されている人的・物的資源の現状を把握するための調査を実施することとした。医療安全を確保するための費用の定義が課題となり、リスクマネジャーの配置や医療安全管理委員会等の開催、あるいは医療安全に向けた研修会の実施などに伴う機会費用が発生し人件費として算定した。また、急速静脈注射事故を避けるためのプレフィルド型薬剤など安全に配慮した薬剤を使用した場合の費用の増加、感染管理のためのディスポ材料、転倒・転落を防止するための用具・設備のための費用等も計上した。感染性廃棄物処理費用も無視できない。 これらの医療安全確保のための費目を定めて調査した結果、事故防止関連費用の総額は、病院の規模と機能に応じて、総費用の0.9%から2.2%に分布しており、1.5%前後の病院が多かった。また、病院の総人件費における医療安全関連人件費の割合は、2.3%から4.2%の間に分布し、3%前後の病院が多かった。そして、医療安全確保のための総費用における人件費の割合は、47%から74%の間に分布していた。すなわち、医療安全確保のコストのうち、半分から4分の3は人材投入に充てられているという結果となった。今回の調査結果を受けて、次年度以降に対象病院を増やして、わが国の医療安全確保に投じられている費用の現状を把握することを継続することとしたい。また、重大事故事例についての事故防止策と、そのために必要となる追加的費用の事例検討も進んでいる。
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