研究概要 |
抗結核薬(イソニアジドとリファンピシン)で治療済みの肺結核患者100例を,副作用(肝障害,皮疹,薬剤熱,好酸球増多症)の有無で副作用出現群と非出現群に分けた。候補遺伝子の多型解析を行い,両群間で多型の出現頻度を有意差検定することで,副作用感受性遺伝子の同定を完了した。 候補遺伝子として,抗結核薬の肝臓代謝に関連する遺伝子(CYP1A1・CYP1A2・CYP3A4・CYP3A5・CYP2E1),肝解毒に関連する遺伝子(GSTA1・GSTM1・GSTT1・GSTP1・NQO1),酸化ストレス除去に関連する遺伝子(HMOX1・iNOS・Nrf2・Keap1・Bach1・Crm1・TXNIP・MafF・MafG・MafK・Xpo1・SOD1・SOD3・SOCS3),炎症性サイトカイン遺伝子(IL-1β・IL-4・IL-6・IL-8・IL-10・IL-13・TNFα・NF-κB1・NF-κB2)の合計33個の遺伝子多型解析を終了し,副作用との相関解析も終えた。 抗結核薬の副作用と相関した遺伝子は,GSTP1,iNOS,Bach1,Crm1,TXNIP,MafK,Xpo1,IL-1β,SOD1およびSOCS3の計10個であった。よって,これらの遺伝子が抗結核薬の副作用感受性遺伝子である可能性が示唆された。 現在,有意差を認めた遺伝子多型を組み合わせて,抗結核薬の副作用出現を投与前に予測できる高感度で,高特異度および高オッズ比を示す遺伝子診断法を同定している。
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