研究概要 |
抗結核剤を服用した肺結核患者100例を, 副作用(肝障害, 皮疹, 薬剤熱, 好酸球増多症)の有無で副作用発現群と非発現群に分け, 両群問で候補遺伝子多型の出現頻度を有意差検定する「相関解析研究」を行った。抗結核剤の薬剤性肝障害感受性遺伝子としてNAR2, CYP1A1, iNOS, Bach1およびCrmlを同定した。同様に, 薬剤性肝障害抵抗性遺伝子としてGSTP1を, 薬剤性皮疹感受性遺伝子としてCYP1A2, iNOSおよびBach1を, 薬剤熱感受性遺伝子としてiNOSとNrf2を, 薬剤熱抵抗性遺伝子としてGSTP1とSOD1を, 薬剤性好酸球増多症感受性遺伝子としてCYP1A2を, そして薬剤性好酸球増多症抵抗性遺伝子としてiNOS, TXNIPおよびIL-1βを同定した。 次に, 相関を認めた遺伝子多型をバイオマーカーとして用い, 副作用を予測できる遺伝子診断法を検索した。検査法として感度・特異度・オッズ比およびP値のバランスが最も良かったバイオマーカーの組み合わせは, 薬剤性肝障害の予測には「fNOS+Or加1」が, 薬剤性皮疹の予測には「iNOS+Bach1」が, 薬剤熱の予測には「iNOS+Nrf2」が有用であった。今後もバイオマーカーの解析を継続し, 感度と特異度が共に100%に近く, オッズ比が20以上で, かつP値が0.001以下のバイオマーカーを用いた遺伝子診断法を確立して臨床応用する。
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