研究課題
本年度は、マイクロRNAの発現量に基づいた肺腺癌外科切除後の予後予測モデルの構築を63例のマイクロアレイ解析データを用いて進めた結果、4個のマイクロRNAの発現量に基づきweighted voting法によって予測する予測モデルを得た。ハイリスクと予測された症例の78%が再発し、一方ローリスク症例は67%が5年間無再発生存していた(P=0.016 by log-rank test)。さらに、これまでに構築したMALDI-MS解析における25ピークに対応する蛋白発現量に基づく予測モデルとの統合を試みた。両者の予測診断がともにハイリスクの症例では全例に再発が観察され、一方ともにローリスクの場合は73%が5年間無再発生存するという(P=0.0004 by log-rank test)、極めて高精度な予測モデルの構築の構築に結び付けることができた。血液試料を用いた癌の早期発見を目指した診断モデルの構築については、膵臓癌を中心に進めた。膵臓癌のMALDI-MS解析による存在診断については、膵臓癌を7個の蛋白の発現量をもとに感度73%、特異度94%で検出可能とする診断システムの構築に成功したが、興味深いことに陽性判定の症例には汎用されているCA-19-9陰性の症例も含まれていた。さらに、多次元ナノ高速液体クロマトグラフィーとタンデムマススペクトロメトリーを組み合わせた、iTRAQラベリング法を用いた解析によって、膵臓癌組織で発現上昇がみられる35種類の蛋白を同定し、順次血中における腫瘍特異的な発現変化に関する検証を進める基盤を確立した。
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