研究課題/領域番号 |
18390177
|
研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
吉田 貴彦 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90200998)
|
研究分担者 |
伊藤 俊弘 旭川医科大学, 医学部, 講師 (20271760)
杉岡 良彦 旭川医科大学, 医学部, 助手 (30398747)
中木 良彦 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90322908)
坂部 貢 北里大学, 薬学部, 教授 (70162302)
小島 弘幸 北海道立衛生研究所, 研究職員 (10414286)
|
キーワード | シックハウス症候群 / 多種類化学物質過敏症 / 免疫学的検査 / DNAマイクロアレイ解析 / ホルムアルデヒド / 患者 / 実験動物 |
研究概要 |
B6C3F1マウスの雌に6週齢からホルムアルデヒド曝露(1日8時間、1週6日間、6週間)を行う。曝露期間終了後マウスを安楽死させ、脾臓、胸腺、末梢血を検体として得て免疫学的検索(免疫担当細胞群の分画解析、応答・活性調節因子mRNA発現、DNAヒストグラム解析、実験的誘発遅延型・即時型アレルギー反応、局所リンパ節応答、Th1/2細胞バランス解析)を行う。さらに、神経一内分泌一免疫枢軸における共通性の高い領域の検索項目について、DNAマイクロアレイ法によるmRNA発現を解析し、それをRT-PCR法によるmRNA発現量で確認する。同じくシックハウス症候群に関連する可能性のあるホルモンについても同様に解析し、さらに産物につき血清中に検索する。 脾臓細胞中リンパ球の表面抗体はホルムアルデヒド曝露によりCD4の亢進とCD8の抑制が認められ、結果としてCD4/CD8比が上昇した。脾臓細胞内におけるインターロイキン4(IL-4)およびインターフェロンγ(IFN-g)の各サイトカイン誘導ではIFN-gがホルムアルデヒド曝露群で低下する傾向が認められ、同様の傾向はmRNA発現でも認められた。IL-4についてはオスが低下、メスは増加する傾向がみられた。脾細胞におけるNK細胞活性は有意な変化は認められなかった。卵白アルブミン(OVA)による実験的アレルギー誘発では、ホルムアルデヒド曝露による明らかな影響は観察されず、血清中のOVA特異的Ig-E抗体においても対照群との間に差異を認めなかった。また、脾臓細胞中におけるDNAヒストグラムは、ホルムアルデヒド曝露による明らかな変化は観察されなかった。 これらの結果から、ホルムアルデヒド曝露が脾臓細胞中の免疫応答が液性免疫優位に傾き、Th2が低下傾向を示すなどアレルギー誘発側に偏る傾向が示されたが、アレルギー誘発に対しては明らかな変化が認められなかった。
|