研究概要 |
1.胃がんDNAのメチル化と生活習慣との関連の解析 胃がん患者106例において、CDX2(ホメオドメインを持つ転写因子)、BMP-2(骨形成性タンパク質)、p16(細胞周期制御),CACNA2D3(カルシウムチャンネル構成成分)、GATA-5(転写因子)、ER(estrogen receptor)各遺伝子のメチル化頻度と生活習慣との関連を解析した。その結果、CDX2とBMP-2のメチル化頻度は緑茶摂取量と負の相関を示した。一方、CACNA2D3のメチル化頻度は、運動量の少ない患者では高かった。また、GATA-5のメチル化頻度は、漬物摂取量の多い患者で高かった。以上より、メチル化頻度は一部の生活習慣と関連していることがわかった。また、CDX2、BMP-2、p16遺伝子のメチル化は互いに相関を示し、CACNA2D3、GATA-5、ERとは違う群であった。CDX2とp16のメチル化頻度は、未分化型胃がんで多いという共通性も示したが、2群に分類される原因は不明である。 2.血球DNAのメチル化を生体指標としてがん発症前のリスク評価に応用する試み もし、血球DNAのメチル化の程度が各臓器のメチル化の程度を反映するとしたら、血球DNAのメチル化をがんリスクの生体指標として利用できる可能性が高い。100例ずつの胃がん患者とがんを発症していない人の血球DNAにおけるメチル化の程度を比較した結果、一部の遺伝子では、高齢化や喫煙量の増加に伴いメチル化の頻度が上がった。現在、各300例ずつの血球DNAで解析している。
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